「ローレライ」を見てきた

okamoto20042005-04-05

ローレライ」、樋口真嗣監督だ。
原作は読んだことないが、無敵のローレライシステムを積んだドイツの潜水艦イ五〇七号を駆る役所広司その他が東京に核を落とさせない為、米軍相手に大活躍!というお話だ。
樋口監督は平成ガメラシリーズの特撮監督である。ガメラが空飛ぶシーン一撃でわしを号泣させたのは金子監督ではなく、実はこの人なのである。
絵がカッコいいぞ、こんちくしょう!すごくカッコいいのに、カットの一つ一つが素直に脳に入ってくるのはエモーショナルな部分がブレていないからだ。多少複雑なカットだろうと、観客の感情でシーンを繋げてしまう。正直、キャシャーンや押井作品は映画の中で今、何がどうなってるかを一瞬では理解出来ない人が大勢いるだろうが、樋口監督はそうじゃない。潜水艦が発進するだけで、超おいしい、超カッコいい。BGMは佐藤直紀。ハリウッド映画に迫力負けしているのはBGMが原因というのが一般的だと思うのだが、こりゃあハンス・ジマーパイレーツオブカリビアンなどカッコいい曲を書かせたら世界一のドイツ野郎)に勝ってるかもしれんと思っちゃったぞ。
あとは、ピエール瀧が凄く良かった。
ストーリーは・・、時代背景として難しいんだろうなと思った。今の日本はおそらく「反戦」がマナーの世の中である。とりあえず、戦争に反対しておけばなんとかなっちゃう空気に包まれている。そこで語られる戦争のお話なのである。設定としては「既に終戦は決定、だが三発目の核を発射前に破壊しなければ」という人命尊重にすり替えようとしているのだが、敵はアメリカだし、今の日本に生きる日本人としてアメリカを完全否定できないし、してもいいけど商売にならないし、といったどうにも煮え切らない迷いが脚本に感じられてしまった。
結局、ストーリーは後半「ガメラ4」になる(乱暴です)。
「ムー文明が残した生物兵器ガメラが日本を守る為、怪獣相手に大活躍!」が、前述のストーリーに変換されているわけだが、ギャオスの群を突っ切ってボロボロになりつつラスボスに挑むガメラをわしはスクリーンの向こうに勝手に見た。
ただ、ガメラは「ちっくしょう、守ってくれてるんだなあ・・」とその健気さに心打たれるが、矛盾を抱えながら指揮を執る役所広司にはあまりそうは思えなかった。
偏った見方なので、参考にはならないと思うが、とてもカッコいい日本映画であることは間違いない。