勝手に邦題「ビッグフィッシュ」

okamoto20042004-12-29

ビッグフィッシュ

この映画、物凄く面白いと評判の「Mrインクレディブル」を観に行けていない今、間違いなく今年ナンバーワンのマイフェイバリットムービーだ。
ユアン・マクレガーってほんと夢のある顔してる。ファンタジーが似合うというか、わしのようなおっさんが大の男を形容する表現として適切かどうかはわからんが、これが「キュート」というものなんだろう。キュートって・・。最近のわしは、「ハウルの動く城」で最初にハウルがソフィーと一緒に空飛ぶシーンで「きゅん♪」ときてしまったり、30のおっさんとして不適切極まりない感情が沸くのだが、一体これはどうなっているのか。「老人は子供に戻る」とは聞いたことあるが「中年男性は少女に戻る」という話は聞いたことがない。いや、戻ってないし。一回も少女じゃないし。
主人公は、話好きのお父さんと神経質な息子。お父さんは自分の人生を面白おかしく脚色してしか話してくれない。「お父さんの話は嘘ばっかりじゃないか!」と息子は不満を持っている。息子は結婚し、お父さんは病に倒れ死を目前に控えるが、それでもお父さんは本当の話をしてくれない・・。というのが、大体のストーリーだがこの作品の主眼は、お父さんが語る「ファンタジック人生一代記」だ。
 (以下、ネタバレありです。気をつけてください)
お父さんが語る人生は巨人やら魔女やら出てくる無闇に壮大で、無闇に夢に溢れたもの。(ユアン・マクレガーが若い頃のお父さんです)「本当の恋に出会ったら、時間は止まるんだ」との言葉で描かれるお母さんとの出会いは比喩でなく本当に時間が止まり空中でポップコーンも静止する。ベトナム戦争の思い出では敵地に乗り込んだ際、シャム双生児の美人姉妹(!!!!)と友達になったりする。このシャム双生児の美人シンガーの登場でわしはもうやられた。あまりのデリカシーの無さ。すごい。ベトナム戦争中になんでシャム双生児がいるのだ。当然、お父さんの創作(と言い切ると語弊があるのはとても美しいラストシーンで明かされます)なのだが、おおらかすぎるよ、おとっつあん!ベトナムもともとそんな国じゃないから!シャム双生児は、あんたらアメリカ人がダイオキシン空から撒いたせいだから!見た瞬間、アジアの民として衝撃さえ走るあまりの大法螺に爆笑してしまった。
このお父さんの語るおとぎ話が好きになれるかどうかでこの映画の評価はかなり変わるかもしれない。
ふと想像したけど、これ日本が舞台だと成立しない。「河童を見た」と言いはるお父さんと和解したくないしな。
そしてラストシーンは当然ながらお父さんが死んじゃうとこで終わるわけだが、この後半20分、わしは涙で滲んでスクリーンが常にソフトフォーカス状態になってた。泣きの質としては、もう「じわあ〜〜」ってやつ。20分間、ずっと涙が目に溜まってる状態。
なんだよ、ティム・バートン!いや、あえてティム!あんた人間だったんじゃん!一緒に酒飲めるよ!そんな気分で一杯になった。
そして、息子が父の全てを了解する余りにも美しい、あまりにも溜飲が下がる、現実とおとぎ話の間にある「本当のこと」がさらりと描かれて映画は終わる。
今回の勝手に邦題は、恐れ多くてつけれない。でも、その代わりキャッチコピーを考えた。
是非、映画のCMっぽく優しい、余韻のある声で読んでください。
では。

勝手にキャッチコピー

「ビッグフィッシュ
    ティムも、人間だった。」