「ハウルの動く城」

月曜のお昼に「ハウルの動く城」を観て来た。
月曜の昼ならば家族連れも少ないだろうと思ったからだが、結論から言うと
「散髪屋の家族がこれほど!?」
という事態に陥った。火曜が休みだから月曜も休みになってたのかもしれない。大誤算である。

内容は・・率直に言うと「もののけ姫」と「千と千尋〜」をミックスしたような内容だ。
主人公のソフィーがおばあちゃんになってしまうという前半部分はおばあちゃんも可愛く、楽しい。ただ、若い時点から声がおばちゃんであるというのが感情移入を微妙に妨げはしたが。
場内から要所要所で笑いも漏れ、幸福なムードの観客席。
多少テンポが遅く感じた部分はあったが、物語はつつがなく進んでいく。
だが、クライマックス、私の中で「??」の嵐が吹き荒れた。
最大の疑問は、ストーリーの最重要部分であると思うのだが、
「ソフィーの呪いはなんで解けたの??」
これ全然分かんなかった。
分かる人いたら教えて欲しい。原作ではたぶん何かあるのだと思う。

ハウルの動く城1  魔法使いハウルと火の悪魔 (ハウルの動く城 1)

ハウルの動く城1 魔法使いハウルと火の悪魔 (ハウルの動く城 1)

大体、呪いもクソも、後半になるにしたがって、ソフィーは頻繁に若い顔に戻ってるのだ。
いつ解けたのか、それとも荒地の魔女が力を失ったので、だんだん解けちゃったのか。
そんな締まらない呪いでいいのだろうか。

あと、おそらく宮崎さんは全く感情移入していないと思われるハンサムボーイのハウル(キムタクヴォイス)だが
「そんなに弱虫じゃないじゃん、こいつ。」
「ソフィーはともかく、君はいつ恋に落ちたのか教えておくれよ?」
「途中から顔がクシャナになっっちゃってるけど、それは大丈夫?許容範囲?」
といった細かい疑問がそれなりに残る。
ただ、これもクライマックスにおいて重要だと思うのだが、
「君は何と戦ってるのかね?そして何の為に?」
これがいまいちわかんない。
たぶん空襲してる爆撃機と戦ってるんだと思うんだけど。
空襲からソフィーさんを守る為に爆撃機と戦う。ここは分かる。だが、その時点でのソフィーさんの最大の脅威は「サリマン(サルマンだっけ?)先生の放った刺客」のような気がして仕方がない。しかも、このソフィーさんはクライマックスの行動で、空襲されている街から遠く離れたとても安全な場所にぽーんと移動してしまうのだ。
「え、自力で解決・・・?」
今、キムタクは無駄なことをしているんですね!
まあ、その無駄なことをやめさせる為にソフィーが色々やるわけだが・・

もののけ姫」が好きな人は好きかもしれない。要所要所は面白い部分が多い。
ただ、それならばキャラのみで構成された「千と千尋〜」の方がそういう遊び部分が生きていた。
全体としてストーリーが語りきれず終わってるのは、非常にもったいないと思う。
それ以外は子供達もちゃんと大人しく見てたし、場内から時折漏れる笑い声がとてもいい感じだったし、映画ってこういう風に観られるべきなんだなあと感動もした。
クライマックスにはどうしても「ベタ」に走らなければならない局面がある。創作者としては「ここまで来てそんなベタベタの展開にしたくない」という欲求にかられるのだと思う。ただ、呪い、ロマンス、とベタな道具立てを選択してしまった時点で、観客は「主人公と同化できる分かりやすいクライマックス」を当然のように期待してしまっているのも事実だ。
宮崎さんには日本で最もお客を呼ぶ映画監督として、数々の名作を作った人間として、子供達にそして私たちに「人間ってのはこうじゃなきゃいかん!」と涙ながらに確信させて欲しいものだ。きっと次回作も(あると信じますが)観に行かないという選択肢は存在しないと思う。なんだかんだ言いつつも楽しかったのは事実だ。