ライラの冒険を見てきました

ライラの冒険」を見てきました。
実は僕はロードオブザリングなどのファンタジー系がとても苦手です。
しかしながらこのライラはとても気持ちよく見れました。変に小人とか巨人とか出てこなかったのも幸いしていると思います。
読んだことはないですが小説が原作なのも知識にありましたので、幾分無理やりな繋ぎの部分も「おそらくは何かを端折っているのだろう」というとても好意的な目線を獲得して観劇に臨んだ次第です。なので、多少ブチキレた感じでシーンが展開するのも「なにするものぞ」という余裕ぶり。

僕的には「ライラの冒険」というタイトルではなく「ダコタとクマ」という少女とクマとの友情を描いた作品なのですが、それはさておき、ネタバレを多分に含んだ「アメリカ人って・・・」というこの映画を元にした悪口が続きますので未見の方はこれ以降は読まぬが吉です。

ではネタバレというか悪口です。
もはや21世紀のアメリカ人の作る映画に腹は立てないと心に誓ったにも関わらず、その破壊的なデリカシーの無さには同じ地球上に住む知的生命体として一言言わざるを得ない状況が続いている事を本当に遺憾に思います。世界平和なんてない。円高もお前らのせいじゃないか。なんでお前らの尻拭いを世界中でしなきゃいけないんだよアメリカ人。いや、どうでもいいですね、これは映画の話です。
色々面白かったんです。
端折りすぎでクマに乗ったライラが雪原を疾走するところなど宣伝映像を見ては「さぞかし、急がねばならぬ状況であり、おそらくは物語的には燃える部分なのであろう」と想像していた部分は「単なる移動」であって、CG作家と監督の思惑のズレを痛感せざるを得ないとしても、それを補って余りある面白みがこの映画にはあったと言えます。
ただクライマックス。
僕の感覚では「単なる警備員の役割」を担っているだけの英語をしゃべらない人々がライラとその仲間達によって全滅させられます。
大虐殺です。本当に悪い人達は無事に生き延びています。
特に言えばこれはおそらく子供映画なのにです。未来を背負うべき子供が見る映画なのにです。
ダイモンという間単に言えばスタンドなのですがジョジョを知らない人に分かるように言うと、自分の魂が動物の姿となって傍らにいるとでも言えば理解可能でしょうか。これが消える=死なのです。
戦闘中、英語をしゃべらない民族の方々のダイモンがボコボコ消えます。即死です。警備員という仕事を全うする為だけにそこにいる人達の魂が。少なくともその場面ではほとんど誰も殺していないのに、有無を言わさず人生を終わらされていきます。「そこから出たら駄目だよ」と注意しただけなのにです。僕の感覚では。
しかも明らかにライラとその仲間の方が殺傷能力、人数とも上です。
もう一度言いますが、本当に悪い人はとっとと逃げているんです。殺される人達はただ雇われてるだけで、じっくり話し合えば分かってくれるんじゃないかと思うんです。
でも、大虐殺。ライラはその後、勝ったので満面の笑顔です。
言っていいですか。
お前は魔女だよ、ダコタちゃん!!
しかも映画の最後にあるライラのセリフが感動的にも「・・私たちは負けない・・!!」です。
そりゃ負けねえよ!ブッシュか、てめえ。
原作は読んでませんが、人気があるそうです。小説はこんな事にはなってないと祈りたい。多分なってないでしょう。原作はきっと。
これは余りにひどい。ダコタちゃんまで嫌いになってしまいました。
作った人、何考えてんですか。英語しゃべらない人は人間じゃないんですか。
全編通じてあまりにも感情がないがしろにされていますが、それは小説のストーリーを映画という枠組みに押し込んだという事で理解も出来ます。僕はラジオドラマですが原作ものをやった事あるのでかなり端折らないと駄目なのも十分に理解します。ただ、クライマックスはあまりに杜撰すぎると僕は思います。
あれじゃライラが敵対する言葉の通じない人々を、ただそれだけの理由で無感情に虐殺する子としてキャラクター付けされてしまうと思うのです。そういう話ではないはずです。原作読んでませんが多分。