勝手に邦題「イノセンス」

皆様の年末年始、レンタルの指標に少しでもなれば。
そんな殊勝な心持で続けています。

勝手に邦題シリーズ

今回は

イノセンス

攻殻機動隊2 語るぜ!うんちく大捜査」
あらすじ
〜バトーという名のサイボーグ刑事が犬を可愛がったりしつつセックスロボット暴走事件の謎を追い、結果的に1でバトーの前から去った草薙素子と再会するというお話。サイボーグなので常にネットに接続されてるため、無闇に複雑な引用を用いて会話し、サイボーグなのでほとんど感情の起伏がない(あるいは感じられない)。〜

ジブリの鈴木Pが「12万人しか見てない映画の2を作ってヒットするわけがないだろう!」と一喝し、この「イノセンス」という意味があるんだかないんだかのタイトルに変更されたというのは有名な話だ。実際観に行くまでは、「なるほどなあ。売るには色々考えなきゃいかんのだなあ」と普通に感心していた。
しかし、映画館には、皮ジャンと頭バンダナとメガネとネルシャツしかいなかった。大学時代に「攻殻機動隊」を観た時とほぼ同じ観客構成。
「鈴木P・・・無駄でした・・」
だったら、素直に「2」の方が良かったんじゃないだろうか?
押井作品を例えばジブリ作品のターゲットである女子供に見せたところで「意味わからん」という感想しか返って来ないと思うのだが。
押井ファンだからこそあえて言わせてもらうが、はっきり言って、わしだって「もっとエンターテインメントしてくださいよう!犬とじゃれあってないでえ!!」と叫びたい。「なんでいっつも超娯楽映画になりそうな題材を個人的芸術作品にしちゃうんですかあ!犬にばっか優しくしてないでさあ!まもるぅ!」といっそ泣いてしまいたい。
だが、これがいいのだ。<いいのか?
映画はいつものように意味のない(ストーリーの本筋に関係ないと思われる)うんちくがこれでもかと堂堂巡り。「しゃべってないで捜査しろよ!」と言いたくなるがこれが押井だ。このうんちく合戦のせいで主役二人が同じキャラにしか見えず、せっかくのバディムービー(正反対のキャラのコンビがケンカしつつも事件解決)という王道も意味がなくなっている。
しかし、ここまでお金をかけて、世界中にファンのいる原作を題材にしてなお、偏った趣味を1ミリも揺るがすことなく作品を作り上げてしまう押井守という人間に尊敬の念を禁じえない。
恐ろしい男だ。
て、これ、もともと邦題だな。

イノセンス スタンダード版 [DVD]

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